「断熱材は厚く入れるほど暖かいなら、できるだけ厚くした方がいいですよね?」
Q13では、
断熱材を見るときには、
熱伝導率+厚み
が重要だと説明しました。
では、
「厚ければ厚いほど良いのか?」
という疑問が出てきます。
基本的には同じ材料なら、
厚くするほど熱を通しにくくする方向
になります。
しかし家づくりでは、
とにかく厚くすれば正解
ではありません。
厚みを見るなら「熱抵抗値」
断熱材の厚みと性能を考えるときに便利なのが、
熱抵抗値(R値)
です。
単位は、
㎡・K/W
です。
基本的には、
数字が大きいほど熱が伝わりにくい
と考えます。
R値はどう考える?
考え方を簡単にすると、
断熱材の厚さ ÷ 熱伝導率
で熱抵抗を評価します。
例えば同じ厚みでも、
熱伝導率が小さい材料ほどR値は大きくなります。
逆に同じ材料なら、
厚くするほどR値は大きくなります。
つまり、
厚さだけでなく、材料性能との組み合わせ
を見るわけです。
100mmと200mmなら2倍暖かい?
ここは注意してください。
同じ断熱材なら、厚みを増やせばその部分の熱抵抗は高くなります。
しかし、
家全体の快適性が単純に2倍になるわけではありません。
住宅には、
窓。
玄関ドア。
柱などの熱橋。
換気。
隙間。
日射。
など、さまざまな熱の出入りがあります。
壁だけを極端に高性能にしても、家全体としてのバランスが重要です。
屋根・天井は特に確認
夏は屋根面が強い日射を受けます。
冬には室内の熱が上部から逃げることも考えます。
そのため、
壁だけでなく、
屋根・天井にどの断熱材を何mm施工するのか
も重要です。
住宅会社を比較するとき、
壁の断熱材だけ聞いて終わらないようにします。
床・基礎も見る
床断熱なのか。
基礎断熱なのか。
どこで断熱ラインを作るのか。
によって考え方が変わります。
重要なのは、
家を連続した断熱層で包めているか
です。
壁だけ厚くしても、床・基礎との取り合いが適切でなければ十分ではありません。
柱部分は断熱材を入れられない?
一般的な木造住宅では、柱や梁など構造材がある部分があります。
こうした部分は断熱材そのものとは熱の伝わり方が異なります。
これを考えるうえで出てくるのが、
熱橋(ヒートブリッジ)
という考え方です。
熱橋とは?
簡単に言えば、
周囲より熱が通りやすくなっている部分
です。
例えば構造材や金物、取り合い部など、建物の構成によって熱の通り道になりやすい部分があります。
だから、
断熱材だけの性能ではなく、
壁全体としてどう断熱するか
を見る必要があります。
付加断熱という方法もある
より高い断熱性能を目指す場合、
柱間の断熱に加えて、
建物の外側などへ追加の断熱層を設ける「付加断熱」
という方法があります。
これによって、構造材部分などを含めた熱の移動を抑える方向にできます。
ただし、
施工方法。
防湿。
防水。
外壁。
コスト。
なども関係するため、設計・施工の知識が必要です。
厚くするほど費用対効果も考える
例えば、
断熱材100mm→120mm。
120mm→200mm。
と性能を上げていく。
当然、材料費・施工費なども変わります。
そこで確認したいのが、
「追加費用に対してUA値がどの程度変わるか」
です。
最初の性能向上と、さらに上を目指した場合では、費用対効果が同じとは限りません。
断熱等級との関係を見る
Q1で説明した、
断熱等級5。
6。
7。
を目標にする場合も、
断熱材だけで決めるのではありません。
窓。
屋根。
床。
建物形状。
などを含めた外皮性能で判断します。
だから、
「断熱材を200mm入れています」より、「その結果、この家は何等級・UA値いくつなのか」
を見る方が重要です。
厚みより施工精度も重要
断熱材を200mm設計。
でも、
隙間。
欠損。
圧縮。
施工ムラ。
がある。
それより、
適切な厚みを丁寧に施工。
気密処理も確認。
という方が、設計した性能を実現しやすくなります。
だから、
厚み+施工品質
をセットで見ます。
よくある失敗例
A社は断熱材100mm。
B社は150mm。
「150mmのB社の方が絶対高性能」
と思った。
しかし調べると、
断熱材の種類。
熱伝導率。
窓性能。
屋根・床の断熱。
UA値。
が違っていた。
「厚みだけでは住宅の断熱性能を比較できない」
と後から気づいた。
チェックポイント
- 断熱材の厚みを確認したか
- 熱伝導率を確認したか
- R値の意味を理解したか
- 壁だけで判断していないか
- 屋根・天井の断熱を確認したか
- 床・基礎の断熱を確認したか
- 熱橋対策を確認したか
- 付加断熱の必要性を比較したか
- 追加費用とUA値の変化を比較したか
- 施工品質・気密測定まで確認したか
まとめ
断熱材は、
同じ材料なら厚いほど熱を通しにくくする方向になります。
しかし、
厚さだけで家の性能は決まりません。
重要なのは、
熱伝導率。
厚み。
熱抵抗値。
屋根。
壁。
床・基礎。
窓。
熱橋。
気密。
これらを組み合わせた、
家全体の断熱性能です。
だから住宅会社へ、
「断熱材は何mmですか?」だけではなく、「その厚みと窓仕様を含めた、この家全体のUA値はいくつですか?」
と聞いてみる。
さらに性能を上げるなら、
「追加で断熱材を厚くした場合、費用はいくら増えて、UA値はどこまで改善しますか?」
まで比較する。
厚さを競うのではなく、家全体として必要な断熱性能をつくる。
これが断熱材の厚みを考えるポイントです。
















