「住宅ローンをできるだけ減らしたいので、退職金を建替え費用に使っても大丈夫ですか?」
退職金を建替え資金に使うこと自体は、一つの選択肢です。
ただし、
「退職金が入るから、それで住宅ローンを返せばいい」
という計画は慎重に考えます。
50代・60代では、退職後に、
生活費。
医療。
介護。
車。
住宅修繕。
旅行・趣味。
などのお金も必要になります。
だから退職金は、
「住宅ローン返済用のお金」ではなく、「老後全体を支える資金」
として考えることが重要です。
まず退職金の役割を整理する
例えば退職金2,000万円。
住宅ローン残高1,500万円。
なら、
「1,500万円返してしまおう」
と考えたくなります。
でも返済後に残るのは500万円です。
その500万円だけで老後生活を支えるわけではありませんが、退職後の収入・年金・その他資産も含めて、本当に十分なのか確認する必要があります。
※金額は説明用の例です。
退職後の生活費を先に計算する
例えば、
65歳で退職。
90歳まで25年間。
その間、
年金収入。
毎月の生活費。
を比較します。
年金だけでは不足するなら、その不足分を預貯金や退職金から補うことになります。
「毎月の不足額×老後期間」を見る
例えば退職後、
毎月5万円不足。
年間60万円。
これが20年間なら、
単純計算で1,200万円です。
実際の生活費や期間は家庭ごとに違いますが、
住宅ローンだけを見て退職金の使い道を決めない
ことが重要です。
医療・介護費も考える
将来、
自分。
配偶者。
親。
の医療・介護で支出が増える可能性があります。
金額を正確に予測することは難しいため、
ある程度の資金余力を残す
という考え方が必要です。
車の買い替えも忘れない
地方では、
60代。
70代。
でも車が生活に必要な家庭があります。
夫婦2台。
数年後に買い替え。
となれば大きな支出です。
住宅ローン完済だけを優先し、車を買い替える現金がない、という状態は避けたいところです。
家も新築後にお金がかかる
建替えれば、
「もう家にはお金がかからない」
わけではありません。
10年。
15年。
20年。
と経てば、
給湯器。
エアコン。
設備。
外装。
その他メンテナンス。
が必要になる可能性があります。
旅行や趣味も老後生活の一部
建替え後、
住宅ローンはゼロ。
でも、
旅行へ行けない。
趣味を楽しめない。
外食も控える。
では、本当に希望していた老後でしょうか。
建替えは、
これからの生活を良くするためのもの
です。
退職金は「全部使う・使わない」の二択ではない
例えば、
A案
→ 退職金を使わない
B案
→ 一部を繰上返済
C案
→ 多めに繰上返済
という3パターンを比較します。
一部だけ使う方法
例えば退職金の一部を使って、
住宅ローン残高を減らす。
毎月返済を軽くする。
返済期間を短縮する。
などの方法も考えられます。
どの方法が適するかは、ローン条件や家計状況によって変わります。
繰上返済を急がない考え方もある
退職金が入った。
↓
すぐ全額繰上返済。
ではなく、
一度手元に残す。
↓
退職後の生活費を確認。
↓
余裕がある部分を返済。
という考え方もあります。
金利も判断材料
住宅ローンの金利。
預貯金。
その他の資産運用。
手元流動性。
なども含めて考えます。
単純に、
借金=すぐ全部返した方がいい
とは限りません。
団信も考える
住宅ローンに団体信用生命保険が付いている場合、その保障内容も含めて判断します。
繰上返済すれば借入残高は減りますが、同時に団信でカバーされる残高も減ります。
金利だけでなく、保障とのバランスも確認します。
夫婦で話しておく
夫
→ 借金は全部返したい。
妻
→ 現金を残したい。
という考え方の違いもあります。
退職金は大きなお金なので、
建替え契約前に夫婦で使い方を決める
ことが重要です。
よくある失敗例
「住宅ローンを残したくない」
と退職金の大部分を繰上返済。
確かにローンは減った。
でもその後、
車の買い替え。
医療。
家電交換。
旅行。
などで現金が必要になった。
「ローン残高ではなく、返済後に残る資産を確認すればよかった」
と感じた。
チェックポイント
- 退職金の見込額を確認したか
- 年金見込みを確認したか
- 退職後の生活費を計算したか
- 医療・介護費を考えたか
- 車の買い替えを考えたか
- 住宅修繕費を残したか
- 旅行・趣味費を考えたか
- 団信の保障内容を確認したか
- 一部繰上返済とも比較したか
- 返済後に残る資産を確認したか
まとめ
退職金を建替えに使うことはできます。
でも、
「住宅ローンをゼロにすること」を最優先にしないこと。
先に、
老後生活費
+医療・介護
+車
+住宅修繕
+旅行・趣味
+生活予備資金
を考える。
そのうえで余裕がある部分を建替えや繰上返済へ使う。
住宅会社や資金計画の担当者へ、
「退職金でいくら返せばいいですか?」ではなく、「退職金を0円・一部・多めに使った3パターンで、70歳・80歳時点の手元資金まで比較してください」
と相談する。
退職金は、家を建てるためのお金ではなく、これからの人生を支えるお金。
これが50代・60代の建替えで大切な考え方です。
















