質問
「建築費を抑えるため延床30坪前後にしたいのですが、狭く感じる家にはしたくありません。坪数を増やさず、広く見せる方法はありますか?」
結論
家の広さは「延床面積」だけでは決まりません。
30坪前後でも、
①無駄な廊下を減らす
②視線を遠くまで抜く
③家具配置を先に決める
④窓と庭をつなげる
⑤天井・建具を工夫する
⑥収納を適所に配置する
ことで、実際の坪数以上に広く感じる家をつくれます。
重要なのは、
「面積を増やす」のではなく「使える面積を増やす」ことです。
① 「あと2坪増やす」の前に考える
間取りを見て、
LDKが狭い。
玄関が狭い。
収納が足りない。
↓
「あと2坪増やしましょう」
となることがあります。
しかし、その前に現在の30坪の中に無駄なスペースがないかを確認します。
② 廊下・ホールを確認
例えば、
長い玄関ホール。
1階廊下。
階段ホール。
2階廊下。
など、移動だけに使う面積が多くないか確認します。
③ ただし廊下を全部なくさない
前回のQ6と同じで、
トイレ。
脱衣室。
寝室。
などのプライバシーや音を守るために必要な距離は残します。
削るのは、意味のない通路です。
④ LDKは「畳数」より形を見る
同じ18畳LDKでも、
正方形に近い。
長方形。
L型。
通路が中央を横切る。
では家具の置きやすさが変わります。
18畳という数字だけで広さを判断しません。
⑤ 家具を置いて初めて本当の広さが分かる
LDK図面へ、
ダイニングテーブル。
椅子。
ソファ。
テレビ。
収納。
などを実寸に近いサイズで配置します。
家具を置いた後の余白が、実際に使えるスペースです。
⑥ 大きすぎる家具にも注意
家族4人だから、
6人掛けの大きなダイニング。
大型L型ソファ。
巨大テレビボード。
が必ず必要とは限りません。
家具のサイズを適正化するだけでも、空間は広く使えます。
⑦ 視線を遠くまで抜く
人は、壁までの距離が長く見えると空間を広く感じやすくなります。
例えばLDKに入ったとき、
LDK → 大きな窓 → 庭
まで視線が抜ける配置を考えます。
⑧ LDKと庭をつなげる
南側などに庭を確保できるなら、
室内。
窓。
テラス。
庭。
を連続させることで、外部空間までLDKの延長のように感じやすくなります。
⑨ ただ大きな窓を付ければいいわけではない
ここは重要です。
大きな窓を付けると、
夏の日射。
冬の熱損失。
外からの視線。
家具を置ける壁の減少。
なども考える必要があります。
窓は「大きさ」より、位置・方角・目的が重要です。
⑩ 北道路の土地でも広く見せられる
例えば、
北側
→ 道路・玄関・駐車場。
南側
→ LDK・庭。
という配置なら、道路から見えにくいプライベートな庭とLDKをつなげられる場合があります。
⑪ 天井高を部分的に変える
家全体の天井を高くするだけでなく、
LDKだけ高くする。
勾配天井にする。
一部を吹き抜けにする。
など、空間に変化をつける方法があります。
⑫ 平屋なら勾配天井も検討
平屋はLDKの上が屋根になるため、建物・構造計画によっては屋根形状を利用した勾配天井を検討できます。
床面積を増やさず、縦方向の広がりをつくる方法の一つです。
⑬ ハイドアで視線を縦に伸ばす
天井近くまで高さのある建具を使うと、壁面がすっきり見え、空間を広く感じやすくなる場合があります。
ただし価格・仕様とのバランスで判断します。
⑭ 色を増やしすぎない
床。
壁。
天井。
建具。
家具。
の色が細かく分かれると、空間が分断されて見えることがあります。
素材・色をある程度整理すると、LDK全体につながりを出しやすくなります。
⑮ 収納家具を後から増やさない
収納不足。
↓
リビングに棚を追加。
↓
別の棚を追加。
↓
家具だらけ。
となれば、せっかくのLDKが狭くなります。
間取り段階で日常的に使う物の収納場所を確保します。
⑯ リビング収納は「浅くても近く」
文房具。
薬。
書類。
ティッシュ。
充電器。
子どもの学校用品。
などは、奥行きの深い巨大収納より、LDK近くの使いやすい収納が便利な場合があります。
⑰ ファミクロをつくってLDKを片付ける
帰宅後、
バッグ。
上着。
仕事着。
子どもの荷物。
がLDKへ集まると、部屋は狭く感じます。
帰宅動線上に収納場所を設けることで、LDKへ物を持ち込みにくくできます。
⑱ 30坪を32坪にする前に確認する
例えば、
30坪 → 32坪
へ広げる前に、
廊下を減らせない?
収納を整理できない?
家具を小さくできない?
視線を庭へ抜けない?
部屋を兼用できない?
を確認します。
チェックポイント
- 廊下・ホールを見直したか
- LDKの形を確認したか
- 家具を実寸で配置したか
- 視線が抜けるか
- LDKと庭をつなげられるか
- 窓を大きくしすぎていないか
- 天井高さを工夫できるか
- 色・素材を増やしすぎていないか
- 収納家具を後付けしなくて済むか
- 坪数を増やす前に無駄を削ったか
まとめ
広い家をつくる方法は、
坪数を増やすことだけではありません。
住宅会社には、
「LDKをあと2畳広くしてください」だけではなく、「延床面積を増やさず、廊下・家具・収納・窓・庭・天井を工夫して広く感じる方法を提案してください」
と相談する。
「広い家」と「広く暮らせる家」は違います。
建築費を抑えながら快適に暮らすなら、床面積を増やす前に、今ある面積を100%使える間取りにすることが重要です。
















