「窓のカタログに“日射熱取得率”とありますが、数字が小さい方が高性能なんですか?」
Q5では、
Uw値=窓から熱がどのくらい移動しやすいか
を見る指標だと説明しました。
しかし、窓から室内へ入ってくる熱にはもう一つあります。
それが、
太陽の日射熱です。
そこで見るのが、
日射熱取得率(η値・イータ値)
です。
そもそも日射熱取得率とは?
簡単に言えば、
窓に当たった太陽の日射熱を、どのくらい室内へ取り込むか
を表す指標です。
例えば、
日射熱取得率0.50なら、
窓へ当たった日射エネルギーのうち、おおむね50%相当が室内側へ取得されるというイメージです。
基本的には、
数値が大きい → 日射熱を取り込みやすい
数値が小さい → 日射熱を抑えやすい
と考えます。
小さい方が高性能とは限らない
ここが非常に重要です。
夏だけを考えると、
日射熱取得率が小さい方が、太陽熱を室内へ入れにくくできます。
しかし冬はどうでしょう。
南側の窓から日射を取り込める条件なら、
太陽の熱を暖房のように利用できる場合があります。
つまり、
日射熱取得率は、
小さければ小さいほど良い数字ではありません。
南側は「冬に入れて、夏に遮る」
南側の窓では、
冬は太陽高度が低く、
夏は高くなります。
この特徴を利用して、
冬
→ 日射を室内へ取り込む
夏
→ 軒・庇などで日射を遮る
という設計が考えられます。
これを上手に行えば、
窓を単なる弱点ではなく、
冬の熱を取り込む場所
として活用できます。
西側は考え方が違う
西側では、
夏の午後から夕方に、低い角度から強い日射が入ります。
低い角度なので、軒だけでは遮りにくい場合があります。
そのため、
窓を小さくする。
日射取得を抑えたガラスを使う。
外付けシェード。
植栽。
などを組み合わせて、
不要な日射を入れない
ことが重要になります。
Uw値との違いを整理する
ここは覚えておいてください。
Uw値
→ 室内外の温度差による熱の移動を見る
単位:W/㎡・K
基本的に小さいほど熱を通しにくい。
一方、
日射熱取得率
→ 太陽の日射熱をどの程度取り込むかを見る
こちらは、
小さい=必ず良い
ではありません。
方角と季節によって、取り込みたい熱と遮りたい熱があるからです。
Low-Eガラスとも関係する
Q8で説明したLow-Eガラスには、日射の取り込み方が異なる仕様があります。
だから、
「全窓Low-Eです」
だけではなく、
「南側と西側で日射熱取得率はどうなっていますか?」
と確認すると、住宅会社の日射設計をより具体的に見ることができます。
ガラスだけで考えない
日射熱取得率が低いガラスを使えば、夏の日射対策には役立ちます。
しかし、
大きな西窓。
日除けなし。
では、日射の影響が大きくなる可能性があります。
逆に南側では、
ガラス。
窓サイズ。
軒。
庇。
建物配置。
を組み合わせます。
日射対策はガラスだけに任せない
ことが重要です。
隣家の影も考える
南側に大きな窓を作って、
「冬の日射を取り込みます」
という設計。
でも、
南側すぐ近くに2階建て住宅。
冬は窓へほとんど日が当たらない。
これでは計画どおりになりません。
だから、
土地+隣家+太陽+窓
まで考えます。
よくある失敗例
「夏は暑いから、日射をできるだけカットした方がいい」
と思い、家中の窓を同じ考え方で選んだ。
しかし後から、
南側では冬の日射を利用するという設計方法もあることを知った。
一方、西側には大きな窓があり、夏の日射対策が不足。
「方角によってガラスと窓の役割を変えればよかった」
と感じた。
チェックポイント
- 日射熱取得率の意味を理解したか
- 小さいほど良い数字だと思っていないか
- Uw値との違いを理解したか
- 南側の冬の日射取得を考えたか
- 南側の夏の日射遮蔽を考えたか
- 西側の日射対策を考えたか
- Low-Eガラスの仕様を確認したか
- 窓サイズまで考えたか
- 軒・庇とセットで考えたか
- 隣家による日影を確認したか
まとめ
日射熱取得率とは、
太陽の日射熱を窓からどの程度室内へ取り込むかを見る指標
です。
重要なのは、
日射=全部悪い熱ではない
ということ。
夏は入れたくない。
冬は取り込みたい場合がある。
だから、
「日射熱取得率はいくつですか?」だけではなく、「この方角では、日射を入れたいのですか?遮りたいのですか?」
と住宅会社へ聞いてみる。
窓性能は数字だけではなく、太陽をどう利用するかまで設計する。
これが重要です。
















