「軒がない家の方が、スッキリしてスタイリッシュですよね?」
最近は、
箱型。
シンプルモダン。
キューブ型。
など、
軒を短くした住宅
もよく見かけます。
外観がシャープ。
すっきり見える。
都市型住宅にも合わせやすい。
など、デザイン面で大きな魅力があります。
もちろん、
軒が短い家が悪いということではありません。
重要なのは、
軒を短くした場合に、
日射・雨・外壁・窓への影響をどう設計で補うのか
まで考えることです。
そもそも軒には何の役割がある?
軒は、
屋根が外壁より外側へ出ている部分です。
単なるデザインではありません。
例えば、
窓や外壁への雨掛かりを抑える。
夏の日射を遮る。
外壁を保護する。
など、
家を守る役割の一部
があります。
夏の日射遮蔽に関係する
南側の窓では、
夏の高い位置からの日射を軒や庇で遮り、
冬の低い位置からの日射を取り入れる、
という設計を考えることができます。
つまり軒は、
デザインだけでなく、日射設計にも関係する
ということです。
「深ければ深いほどいい」でもない
ただし、
軒は深ければ深いほど良い
という意味ではありません。
深くしすぎると、
冬に取り入れたい日射まで遮る。
室内が暗く感じる。
建物デザインが変わる。
などの可能性があります。
だから、
方角・窓・太陽高度に合わせた適切な深さ
を考えます。
西日は軒だけでは防ぎにくいこともある
Q47で扱ったように、
西日は低い角度から入ります。
そのため、
上から出ている軒だけでは十分に遮れない場合があります。
西側なら、
窓を小さくする。
外付けシェード。
植栽。
その他の方法。
など、
方角に合わせて日射対策を変える
必要があります。
雨の日に窓を開けにくいことも
軒がある程度出ていれば、
弱い雨などでは窓への雨掛かりを抑えられる場合があります。
一方、
軒がほとんどない場合は、
窓を開けた状態で急に雨が降ると、
室内へ雨が入りやすくなることも考えられます。
もちろん風向き・雨量によって状況は変わります。
外壁への雨掛かりも考える
外壁は、
雨。
紫外線。
風。
などにさらされます。
軒の出が小さくなれば、
外壁面への雨掛かりなどの条件も変わります。
だから、
軒が短いデザインを採用するなら、
外壁材・防水・納まり・メンテナンスまでセット
で考えることが重要です。
玄関の軒も重要
意外と後悔しやすいのが、
玄関です。
玄関ポーチの屋根が小さい。
すると、
雨の日。
傘を閉じる。
鍵を開ける。
子どもを待つ。
荷物を持つ。
という間に濡れやすくなります。
宅配便の受け取りも考える
雨の日に、
玄関先で宅配便を受け取る。
荷物にサインする。
大きな段ボールを受け取る。
このとき、
玄関まわりに十分な屋根があるか。
日常生活では意外と重要です。
自転車・ベビーカーにも関係する
玄関近くに、
ベビーカー。
子どもの自転車。
傘。
などを一時的に置く家庭もあります。
軒や屋根が全くなければ、
雨に濡れる可能性があります。
建物の軒だけで解決する必要はありませんが、
外構・玄関ポーチまで含めた雨対策
を考えます。
デザインだけで軒をなくさない
「この外観の方がかっこいい」
という理由で軒をなくす。
それ自体が悪いわけではありません。
しかし、
日射。
雨。
防水。
外壁。
玄関。
をどう処理するのか。
軒が担っていた役割を別の設計で補えているか
が重要です。
よくある失敗例
SNSで見た、
軒のほとんどない箱型住宅に憧れて採用。
外観は理想どおり。
しかし生活すると、
夏は南側窓の日射が気になる。
雨の日は玄関で傘を開閉するときに濡れやすい。
外壁への雨掛かりも気になる。
「軒はデザインだけのものではなかった」
と気づいた。
原因
軒を「外観デザインの一部」とだけ考え、日射・雨・外壁・玄関を守る役割まで考えなかったことです。
後悔しないためのチェックポイント
- 軒を短くする理由は明確か
- 南側の日射遮蔽を考えたか
- 冬の日射取得を考えたか
- 西日は別の対策を考えたか
- 窓への雨掛かりを考えたか
- 外壁材・防水計画を確認したか
- 玄関で雨に濡れないか
- 宅配便を受け取りやすいか
- 外構と雨対策を一緒に考えたか
- 軒をなくした役割を別の方法で補えているか
まとめ
軒は、
昔ながらの家に付いている飾りではありません。
日射。
雨。
外壁。
窓。
玄関。
などに関係する、
住宅を守るための設計要素の一つです。
一方で、軒を短くしたスタイリッシュな住宅も、適切に設計すれば選択肢になります。
重要なのは、
「軒がある・ない」ではなく、「なぜその形にするのか」。
だから住宅会社へ、
「軒を短くした場合、夏の日射と雨対策はどうしますか?」
と聞いてみる。
デザインを諦めるのではなく、
デザインと性能・耐久性を一緒に考える。
それが、軒のデザインで後悔しない家づくりにつながります。
















