質問
「第一種熱交換換気を入れれば、家中の温度が均一になって、梅雨の湿気や冬の乾燥も解決しますか?」
結論
第一種熱交換換気だけで、家中の温度・湿度問題がすべて解決するわけではありません。
換気の主な役割は、必要な外気を取り入れ、室内空気を排出することです。
快適な温熱環境には、
断熱+気密+日射+換気+冷暖房+除湿・加湿
を組み合わせる必要があります。
① 換気設備はエアコンではない
熱交換換気は排気する空気から熱を回収できますが、自ら十分な冷暖房能力を持つエアコンと同じ設備ではありません。
熱を回収することと、室温をつくることは別です。
② 熱交換しても100%ではない
例えば温度交換効率90%でも、熱を100%回収するわけではありません。
さらに住宅では、
壁。
屋根。
床。
窓。
玄関ドア。
などからも熱が出入りします。
③ 家中の温度差は間取りにも関係する
例えば、
LDKだけエアコン。
↓
長い廊下。
↓
閉め切った脱衣室。
という間取りなら、高断熱住宅でも空調された空気が届きにくい可能性があります。
換気計画と空調計画は別々にしないことが重要です。
④ 第一種換気の風で家全体を冷暖房できる?
通常の24時間換気で動かす空気量と、住宅を冷暖房するために必要な空気量・熱量は同じではありません。
そのため、一般的な換気設備について、
「換気の風だけで家中を冷暖房できる」
と考えないほうがよいでしょう。
⑤ 全熱交換なら梅雨の除湿もできる?
全熱交換では湿度に関係する交換も行いますが、除湿機そのものではありません。
久留米の梅雨では外気自体に多くの水蒸気が含まれるため、
エアコンの冷房・除湿。
必要に応じた除湿設備。
室内発湿量。
なども考えます。
⑥ ランドリールームは特に注意
室内干しをすると、洗濯物から大量の水分が室内へ放出されます。
第一種換気があるから大丈夫、と考えるのではなく、
ランドリーの換気+エアコン・除湿+乾燥機
など、実際の洗濯方法から計画します。
⑦ 冬の乾燥も換気だけでは決まらない
冬の室内湿度には、
外気の絶対湿度。
換気量。
暖房。
家族人数。
料理・入浴。
室内干し。
加湿。
などが関係します。
第一種換気なら乾燥しない、第三種なら乾燥する
と単純には分けられません。
⑧ 全熱交換の湿度交換にはメリットもある
全熱交換型では、条件によって排気側と給気側の水蒸気に関係する熱も交換するため、冬の過乾燥や夏の外気湿度負荷を抑える方向に働く場合があります。
ただし、実際の効果は製品性能・運転条件等によります。
⑨ C値も確認する
高性能な第一種熱交換換気を採用しても、住宅に意図しない隙間が多ければ、熱交換器を通らない外気の出入りが生じます。
だから、
第一種熱交換換気+全棟気密測定
という考え方が重要です。
⑩ 「設備」ではなく住宅全体で考える
快適な家をつくる順番は、
断熱で熱を伝わりにくくする
↓
気密で意図しない空気移動を抑える
↓
夏の日射を遮る
↓
必要な換気を行う
↓
空調・除湿で温湿度を整える
と整理すると分かりやすくなります。
チェックポイント
- 換気と空調を混同していないか
- UA値を確認したか
- C値を実測するか
- 熱交換方式を確認したか
- 夏の除湿方法を確認したか
- ランドリーの湿気対策を考えたか
- 家全体の空調計画を確認したか
まとめ
住宅会社には、
「第一種熱交換換気を入れれば家中快適ですよね?」ではなく、
「断熱・気密・熱交換換気・エアコン・除湿を組み合わせて、久留米の夏・梅雨・冬の温度と湿度をどう管理しますか?」
と質問する。
換気は換気。
冷暖房は空調。
湿度管理は除湿・加湿を含めて考える。
それぞれの役割を理解して住宅全体を設計することが、本当に快適な高性能住宅をつくるポイントです。
















