「樹脂サッシの方が高性能と聞きました。でも、アルミ樹脂複合サッシと何が違うんですか?」
Q5では、
窓の断熱性能を見る指標としてUw値がある
ことを説明しました。
では、その窓の性能を左右する、
「サッシ」
とは何でしょうか。
まず、ここから理解しておきましょう。
そもそも「サッシ」とは?
サッシとは、簡単に言えば、
窓ガラスを支えている窓枠・フレーム部分
のことです。
窓の断熱性能というと、
ペアガラス。
トリプルガラス。
ばかりに目が行きますが、
実際の窓は、
サッシ+ガラス
で構成されています。
そのため、高性能なガラスを使っていても、サッシ部分から熱が移動します。
だから窓は、
ガラスだけではなく、サッシまで含めた「窓全体の性能」で比較する
ことが重要です。
なぜサッシの素材が重要なの?
理由は、
素材によって熱の伝わりやすさが違うからです。
例えば冬。
外は5℃。
室内は20℃以上。
窓には大きな温度差があります。
そのとき、
ガラスだけでなくサッシ部分からも熱は移動します。
そこで、
熱を伝えにくい素材を使うことで、窓全体の断熱性能を高めやすくする
という考え方があります。
アルミ樹脂複合サッシとは?
アルミ樹脂複合サッシは、一般的には、
屋外側にアルミ、室内側に樹脂
など、アルミと樹脂を組み合わせたサッシです。
アルミには、
強度を確保しやすい。
細いフレームを設計しやすい。
などの特徴があります。
一方、アルミは樹脂と比較すると熱を伝えやすい素材です。
そこで室内側などに樹脂を組み合わせ、
アルミだけのサッシより断熱性能を高める
という考え方です。
具体的な構造や性能は製品によって異なります。
樹脂サッシとは?
樹脂サッシは、
窓枠の主要部分に樹脂を使ったサッシ
です。
樹脂はアルミに比べて熱を伝えにくいため、
窓枠部分からの熱の出入りを抑えやすく、
窓全体の断熱性能を高めやすい
という特徴があります。
そのため、高断熱住宅では樹脂サッシが採用されることがあります。
どのくらい熱の伝わり方が違う?
ここでよく、
「アルミは樹脂の約1,000倍熱を伝えやすい」
といった説明を見かけます。
ただし注意してください。
これは、
素材そのものの熱伝導率を比較した話
であって、
完成した窓の断熱性能が1,000倍違うという意味ではありません。
実際の窓性能は、
フレーム形状。
ガラス。
中空層。
スペーサー。
窓サイズ。
開閉方式。
などによって変わります。
だから最終的には、
Q5で説明した、
Uw値(W/㎡・K)
で窓全体を比較することが重要です。
「樹脂サッシ」という名前だけでは比較できない
例えば、
A社も樹脂サッシ。
B社も樹脂サッシ。
だから同じ性能。
とは限りません。
ペアガラスなのか。
トリプルガラスなのか。
Low-E仕様はどうか。
ガスは何か。
スペーサーはどうか。
などによって、窓全体のUw値は変わります。
つまり、
「樹脂サッシです」だけでは性能比較は終わりません。
結露にも関係する?
サッシの断熱性能は、
室内側表面温度
にも関係します。
冬、窓の室内側表面温度が低くなり、室内の水蒸気が冷やされる条件がそろうと結露が発生します。
断熱性能の高い窓は、室内側表面温度を保ちやすくする方向に働くため、結露対策を考えるうえでも重要です。
ただし、
樹脂サッシなら絶対に結露しない
ということではありません。
結露には、
室内温度。
湿度。
換気。
外気温。
カーテンの状態。
なども関係します。
夏にも窓性能は重要
「樹脂サッシは冬のため」
と思われるかもしれません。
しかし夏も、
外の熱の影響を抑え、
冷房した室内の温度を維持しやすくするために、窓の断熱性能は重要です。
ただし夏には、
日射遮蔽
も非常に重要です。
高性能な樹脂サッシでも、
西側の大きな窓から強い日射が入れば暑さに影響します。
つまり、
サッシ性能+ガラス+日射対策
で考えます。
では樹脂サッシが絶対に正解?
ここは単純に、
樹脂=正解
アルミ樹脂複合=ダメ
と考えないでください。
住宅は、
建築地域。
目標とする断熱等級。
UA値。
窓面積。
方角。
デザイン。
予算。
などによって条件が違います。
大切なのは、
その住宅性能に対して、なぜそのサッシを採用するのか
という根拠です。
追加費用とUA値を比較する
例えば住宅会社の標準が、
アルミ樹脂複合サッシ。
オプションで、
樹脂サッシ。
だったとします。
そこで、
「樹脂の方が高性能だから変更してください」
とすぐ決めるのではなく、
「追加はいくらですか?」
「変更すると家全体のUA値はいくつからいくつになりますか?」
と聞いてみます。
これなら、
追加費用に対してどの程度性能が変わるのか
を具体的に判断できます。
ガラスも同じ条件で比較する
ここも大切です。
例えば、
A:アルミ樹脂複合+トリプルガラス
B:樹脂+ペアガラス
を、
「サッシだけ」で比較しても分かりにくくなります。
できれば、
同じガラス仕様。
同じ窓サイズ。
など、条件をそろえて、
Uw値で比較する
と判断しやすくなります。
窓は後から簡単に変更しにくい
エアコン。
照明。
給湯器。
などは将来交換します。
しかし、
新築後に家中の窓をすべて交換するとなれば、大きな工事になる可能性があります。
だから予算に限りがあるときも、
後から変えにくい住宅性能部分をどこまで優先するか
という視点を持っておきたいところです。
よくある失敗例
住宅会社から、
「断熱等級6です。窓はアルミ樹脂複合サッシです」
と説明され、そのまま契約。
後から樹脂サッシという選択肢を知った。
しかし、
追加費用。
Uw値の差。
家全体のUA値への影響。
を一度も比較していなかった。
結果、
「樹脂サッシにしなかったことではなく、比較せずに決めてしまったことを後悔した」
というケースです。
後悔しないためのチェックポイント
- サッシとは何か理解したか
- 標準サッシの素材を確認したか
- 樹脂サッシも比較したか
- ガラス仕様を確認したか
- 窓全体のUw値を比較したか
- 素材の熱伝導率と窓性能を混同していないか
- 結露について確認したか
- 樹脂へ変更した場合の追加費用を確認したか
- 家全体のUA値がどの程度変わるか確認したか
- 地域・方角・予算まで含めて判断したか
まとめ
樹脂サッシとアルミ樹脂複合サッシの大きな違いの一つは、
窓枠に使われる素材です。
樹脂はアルミより熱を伝えにくいため、
樹脂サッシは窓の断熱性能を高めやすい
という特徴があります。
しかし、
「樹脂」という名前だけで窓を選ばないこと。
最終的には、
サッシ。
ガラス。
Uw値。
UA値への影響。
地域。
方角。
追加費用。
まで見て判断します。
だから住宅会社へ、
「標準は何サッシですか?」
と聞いたら、続けて、
「樹脂サッシへ変更すると、Uw値・家全体のUA値・追加費用はそれぞれどう変わりますか?」
と聞いてみる。
そして最後に、
「この地域、この家なら、なぜこのサッシが適しているのですか?」
まで確認する。
商品名ではなく、性能と費用の根拠で窓を選ぶ。
これが、サッシ選びで後悔しないポイントです。
















