質問
「住宅性能は若い夫婦だけで暮らすなら、そこまで高くなくても大丈夫ですか?子どもや高齢者がいる家庭では何が違うのでしょうか?」
結論
住宅は、今の家族だけでなく、これから年齢を重ねる家族が長期間暮らす場所です。
特に、
乳幼児・子ども
+高齢者
が暮らす住宅では、極端な暑さ・寒さや大きな部屋間温度差をできるだけ抑え、安定した室内環境をつくることを考えたいところです。
① 子どもは床に近い場所で過ごす
小さな子どもは、
床で遊ぶ。
ハイハイする。
座って遊ぶ。
ことが多くあります。
そのため、大人の顔の高さだけでなく、床付近の温熱環境も考えます。
② 子ども部屋は将来も使う
新築時には幼児でも、数年後には子ども部屋で、
勉強。
睡眠。
オンライン学習。
など長時間過ごすようになります。
北側だから寒い。
西日で夏暑い。
とならないよう、断熱・窓・日射まで考えた部屋づくりが重要です。
③ 寝室の温熱環境も重要
子どもも高齢者も、1日の長い時間を睡眠に使います。
寝室について、
冬の冷え込み。
夏の暑さ。
湿度。
エアコン位置。
まで計画します。
④ 高齢者は夜間の移動も考える
年齢を重ねると、
寝室。
廊下。
トイレ。
などを夜間に移動する機会もあります。
寝室は暖かいのに廊下・トイレは極端に寒い
という温度差を減らす住宅計画が重要です。
⑤ 入浴時の温度差
Q88でも触れたように、
暖かいLDK。
↓
寒い脱衣室。
↓
浴室。
という温度変化は、高齢期を考えるうえで特に注意したいポイントです。
住宅性能を、老後のバリアフリーと同じように考える視点も重要です。
⑥ バリアフリーは段差だけではない
老後の住宅というと、
段差なし。
手すり。
引き戸。
を考えます。
しかし、
寒い廊下
寒いトイレ
寒い脱衣室
を減らすことも、将来の暮らしやすさを考えるうえで重要です。
⑦ 50代・60代の建替えでは「今より20年後」
建替え時に60歳なら、20年後は80歳です。
そのため、
「今は寒さに強いから大丈夫」
ではなく、
80歳になった自分が冬の朝、この家でどう暮らすか
まで想像して性能を決めます。
⑧ 夏の暑さも忘れない
高齢者の暮らしを考えるなら、冬だけでなく夏の暑さにも注意します。
日射遮蔽。
断熱。
冷房。
除湿。
によって、室内が極端に暑くなることを抑える住宅を目指します。
⑨ 停電時まで考える
高性能住宅は、停電した瞬間に外気温と同じ室温になるわけではありません。
断熱・日射遮蔽など建物そのものの性能を高めておくことは、災害時の室温変化を緩やかにする方向にも働きます。
太陽光・蓄電池などと組み合わせる場合は、停電時にどこまで空調できるかも確認します。
⑩ 「健康住宅」という言葉だけで選ばない
住宅会社が、
自然素材だから健康。
高断熱だから健康。
換気設備が高性能だから健康。
と説明していても、それだけで判断しません。
確認したいのは、
UA値
+C値
+窓
+換気
+日射
+空調・除湿
という具体的な設計です。
⑪ 子どもから老後まで同じ家を使う
30代で新築すれば、
子育て。
子どもの独立。
50代・60代。
老後。
まで同じ家で暮らす可能性があります。
だから住宅性能は、**「今快適か」ではなく「家族のライフステージが変わっても使いやすいか」**で考えることが重要です。
チェックポイント
- 子どもの床付近の環境を考えたか
- 子ども部屋の夏・冬を考えたか
- 寝室の温湿度を確認したか
- 廊下・トイレの温度差を考えたか
- 脱衣室・浴室を考えたか
- 高齢期の暮らしを想定したか
- 夏の暑さ対策をしたか
- 停電時の室温維持も考えたか
まとめ
住宅会社には、
「高性能住宅は若い家族にも必要ですか?」ではなく、
「子育て期から70代・80代まで暮らすことを考えて、家の中に極端に暑い・寒い場所をつくらないために、どんな性能を確保しますか?」
と質問する。
住宅は、建てたときの年齢のためだけにつくるものではありません。
子どもの成長、家族の変化、そして自分たちの老後まで支える。
だから住宅性能は、設備やデザインと同じように、30年・50年先まで考えて決めることが重要です。
















