質問
「断熱等級6などの高断熱住宅にすると、電気代が安くなると聞きます。本当に光熱費は下がるのでしょうか?」
結論
高断熱化は、冷暖房に必要なエネルギーを減らす方向に働きます。
ただし、
「断熱等級6なら電気代○万円」
とは一律には言えません。
実際の電気代には、
UA値+C値+窓+日射+換気+エアコン+給湯+太陽光+家族の暮らし方
まで関係します。
だから住宅会社には、建物価格だけでなく、実際の間取り・設備を使った省エネ計算やシミュレーションも確認します。
① なぜ高断熱にすると冷暖房負荷を抑えやすい?
冬に暖房すると、室内の熱は、
屋根・天井。
壁。
床・基礎。
窓。
玄関ドア。
などから外へ移動します。
断熱性能を高めることで、この熱移動を抑える方向に働きます。
夏は反対に、外部の熱が室内へ伝わるのを抑えます。
② 「電気代」と「冷暖房費」を混同しない
住宅の電気代には、
冷暖房。
給湯。
照明。
冷蔵庫。
調理家電。
洗濯乾燥機。
などが含まれます。
断熱性能を上げて直接影響しやすいのは、主に冷暖房負荷です。
そのため、
「高断熱だから家全体の電気代が半分」
などと単純には言えません。
③ UA値0.46なら電気代はいくら?
これもUA値だけでは分かりません。
例えば同じUA値0.46でも、
30坪と40坪。
平屋と2階建て。
4人家族と2人家族。
南窓と西窓。
設定温度20℃と24℃。
ではエネルギー消費量が変わります。
④ C値も確認する
設計上の断熱性能が良くても、意図しない隙間が多ければ外気の出入りによる熱負荷が生じます。
だから、
UA値を計算
+C値を全棟実測
という両方を見ることが重要です。
⑤ 窓からの日射は電気代にも関係する
久留米では特に夏の日射対策が重要です。
例えば西側に大開口を設け、強い日射が入り続ければ、冷房負荷が増える可能性があります。
高断熱+日射遮蔽
で考えます。
⑥ 冬の日射は逆に利用できる
南側の条件が良ければ、冬の日射熱を室内へ取り込むことができます。
つまり窓は、
夏
→ 日射を遮る。
冬
→ 必要な日射を取り込む。
という設計によって冷暖房負荷を抑えることにも利用できます。
⑦ 換気にもエネルギーが必要
24時間換気では、外気を室内へ取り込みます。
冬の冷たい外気、夏の暑い外気を取り込めば、冷暖房負荷にも関係します。
熱交換換気を採用する場合は、
熱交換効率+ファン消費電力
の両方を確認します。
⑧ 給湯費も大きい
住宅の省エネを考えるなら、冷暖房だけでなく給湯も重要です。
家族人数。
入浴方法。
給湯設備。
湯量。
によってエネルギー消費量が変わります。
高断熱住宅+高効率設備として考えます。
⑨ 太陽光発電があれば電気代ゼロ?
太陽光発電量と家庭の消費電力量は、時間帯によって異なります。
昼間に発電しても、夜は発電しません。
そのため、
太陽光5kW=電気代ゼロ
とは一律には言えません。
⑩ 「過去の施主の電気代」も条件を見る
住宅会社から、
「この家は月8,000円でした」
という実例を見せてもらう場合は、
家の大きさ。
家族人数。
太陽光。
オール電化か。
設定温度。
電気料金単価。
売電を含むか。
まで確認します。
⑪ 建築費+光熱費で比較する
例えば、
A社
→ 初期費用が安い。
B社
→ 断熱・気密・窓性能が高く初期費用が上がる。
という場合。
建築時の差額だけでなく、入居後のエネルギー費まで含めて比較します。
ただし、将来の電気料金を正確に予測することはできないため、シミュレーションは前提条件を確認します。
チェックポイント
- 断熱等級だけで電気代を判断していないか
- 自宅のUA値を確認したか
- C値を実測するか
- 夏の日射遮蔽を考えたか
- 換気の消費電力を確認したか
- 給湯設備を確認したか
- 太陽光を含む・含まないを区別したか
- シミュレーション条件を確認したか
まとめ
住宅会社には、
「断熱等級6なら電気代はいくらになりますか?」ではなく、
「今回の間取り・UA値・C値・窓・日射・換気・エアコン・給湯・太陽光を条件にして、年間のエネルギー消費をシミュレーションできますか?」
と質問する。
高断熱住宅の目的は、単に電気代を安くすることではありません。
少ないエネルギーで室温を保ちやすくし、快適性と省エネを両立させることが重要です。
















