質問
「UA値0.46より0.38、0.38より0.30と小さくすれば、光熱費も比例して安くなりますか?」
結論
UA値を小さくすることは熱損失を減らす方向に働きますが、光熱費がUA値に比例して下がるわけではありません。
実際の冷暖房エネルギーには、
UA値+C値+日射取得・遮蔽+換気+エアコン効率+家の大きさ+暮らし方
が関係します。
そのため、UA値だけを競う家づくりにしないことが重要です。
① UA値が表しているのは何?
UA値は、住宅外皮を通してどれくらい熱が逃げやすいかを示す指標です。
基本的には数字が小さいほど、外皮からの熱損失を抑えやすい設計です。
しかし電気料金そのものを表す数字ではありません。
② UA値0.60→0.46なら電気代23%減?
Q15でも触れたように、UA値の数字だけを比べれば約23%の差があります。
しかしこれは、
電気代が23%安くなる
という意味ではありません。
住宅全体のエネルギー消費には他の要素も含まれるからです。
③ C値が違えばどうなる?
例えば、
A邸
UA値0.38・気密測定なし。
B邸
UA値0.40・全棟気密測定。
という場合。
UA値だけ見てA邸のほうが必ず省エネとは判断できません。
意図しない空気移動も含めて考えるため、UA値とC値はセットです。
④ 夏はUA値より日射の影響も大きい
例えば非常に高断熱でも、
西側大開口。
日射遮蔽なし。
では、夏の強い日射熱が室内へ入ります。
その熱をエアコンで処理する必要があります。
久留米では特に、
UA値を0.01下げることだけに予算を使う前に、夏の日射遮蔽も確認する
ことが重要です。
⑤ 冬は日射取得を利用できる
逆に冬は、南側から適切に日射を取り込めれば暖房負荷を抑える方向に働きます。
つまり、
夏は遮る。
冬は取り込む。
という設計によって、同じUA値でもエネルギー性能に差が出る可能性があります。
⑥ エアコンの性能も重要
エアコンには省エネ性能の違いがあります。
同じ冷暖房負荷でも、使用するエアコンの効率によって消費電力量は変わります。
だから住宅会社には、
「何畳用を何台?」だけではなく、住宅性能から必要能力を選定しているか
を確認します。
⑦ エアコンを大きくしすぎない
高断熱住宅に、従来の感覚で大型エアコンを設置する必要があるとは限りません。
必要以上に大きな機器は、
初期費用。
運転効率。
夏の除湿。
などの面でも検討が必要です。
建物の冷暖房負荷から選定することが重要です。
⑧ 換気による熱損失もある
住宅を高断熱化すると、外皮からの熱損失が小さくなる分、換気による熱負荷の割合も無視できなくなります。
そこで、
第一種熱交換換気。
第三種換気。
熱交換効率。
消費電力。
なども含めて比較します。
⑨ 家を大きくすればエネルギーも増えやすい
例えばUA値0.30でも50坪の家と、UA値0.40で25坪の家では条件が大きく違います。
UA値だけでなく、家の大きさそのものも冷暖房負荷や総エネルギー消費に関係します。
⑩ 「性能を上げる費用」と比較する
例えば、
UA値0.46→0.38。
0.38→0.30。
へ上げるために、
いくら追加?
窓はどう変わる?
断熱材は?
冷暖房負荷はどの程度変わる?
を比較します。
性能アップ費用と効果をセットで見ることが重要です。
⑪ 光熱費だけが性能の価値ではない
仮に性能アップ費用を光熱費だけでは回収しきれなくても、
冬の表面温度。
部屋間温度差。
窓周辺の冷え。
冷暖房時の快適性。
などに価値を感じる家庭もあります。
だから、「何年で元が取れる?」だけで断熱性能を決めないことも重要です。
チェックポイント
- UA値だけで省エネを判断していないか
- C値を確認したか
- 夏の日射遮蔽を確認したか
- 冬の日射取得を考えたか
- 換気による熱負荷を確認したか
- エアコンを負荷計算から選んでいるか
- 家の大きさも考えたか
- 性能アップ費用と効果を比較したか
まとめ
住宅会社には、
「UA値をできるだけ小さくしてください」だけではなく、
「UA値・C値・日射取得・日射遮蔽・換気・エアコン効率を含めた場合、どこへ予算を使うのが久留米で冷暖房負荷を抑えるのに効果的ですか?」
と質問する。
省エネ住宅は、UA値選手権ではありません。
熱を逃がさない。
隙間を減らす。
夏の熱を入れない。
冬の太陽熱を活かす。
必要な換気をする。
適切なエアコンで処理する。
この組み合わせで考えることが、本当に光熱費を抑えやすい高性能住宅につながります。
















