質問
「大きな地震は一度だけとは限らないと聞きます。本震や余震など、繰り返し強い揺れを受けることまで住宅設計で考える必要がありますか?」
結論
地震対策は「一度の大地震だけ」で考えないことが重要です。
大きな揺れを受けると、建物には変形や損傷が生じる可能性があります。
その状態で再び強い地震を受けることも考え、
耐震性能+構造計算+施工品質+制震+地震後の点検
まで考えておくことが重要です。
① 熊本地震が示した「繰り返す強い揺れ」
2016年の熊本地震では、熊本県益城町で震度7が短期間に2度観測されました。
このような事例からも、
「大きな地震は一回来たら終わり」
とは考えないことが重要です。
② 一度目の地震で建物はどうなる?
建物が倒壊しなくても、
耐力壁。
接合部。
構造材。
基礎。
などに変形・損傷が生じる可能性があります。
その後に強い揺れを受ければ、建物の状態によって影響が変わります。
③ 「耐震等級3だから何回でも大丈夫」ではない
耐震等級3は重要ですが、
震度7に○回まで耐えられる
という回数を保証する等級ではありません。
この点は誤解しないことが重要です。
④ まず耐震性能を高める
繰り返し地震を考える場合も、基本となるのは建物そのものの耐震性能です。
確認したいのは、
耐震等級3
+構造確認方法
+第三者評価
+適切な施工
です。
⑤ そこで「制震」という考え方
制震ダンパーなどは、地震時の揺れのエネルギーを吸収し、建物の変形を抑えることを目的とした設備です。
そのため、
耐震=建物の構造で地震力に耐える
制震=揺れのエネルギーを吸収し、変形を抑える
と役割を分けて考えます。
⑥ 「耐震か制震か」ではない
制震ダンパーを付けるから、
耐震性能を下げてもいい。
という考え方ではありません。
基本は、
耐震性能を確保
↓
必要に応じて制震を組み合わせる
という順番です。
⑦ 制震ダンパーなら何でも同じ?
制震装置には、
オイル。
ゴム系。
金属系。
などさまざまな方式があります。
確認したいのは、
どの製品?
何本・何か所?
どこへ配置?
耐久性は?
交換は?
性能根拠は?
です。
「制震ダンパー標準」という言葉だけで比較しないことが重要です。
⑧ 地震後の点検も重要
大きな地震を経験した後は、
「立っているから大丈夫」
と自己判断せず、必要に応じて専門家による点検を受けることも重要です。
特に、
基礎のひび。
外壁。
建具。
構造部。
などに異常が見られる場合は確認します。
⑨ 修理しやすい住宅であることも大切
地震後に住宅を点検・補修することまで考えると、
床下へ入れる?
基礎を点検できる?
構造図面が残っている?
施工写真がある?
といった住宅履歴も重要になります。
⑩ 地震後に「住み続ける」視点
地震対策では、
倒壊を防ぎ命を守ること
が最優先です。
さらにその先として、
損傷をできるだけ抑える。
修理しやすくする。
早く生活を再開する。
という視点も考えます。
チェックポイント
- 繰り返し地震を考えたか
- 耐震等級3を確認したか
- 構造確認方法を確認したか
- 制震の役割を理解したか
- 制震装置の性能根拠を確認したか
- 地震後の点検方法を確認したか
- 構造図・施工写真を残すか
まとめ
住宅会社には、
「耐震等級3なら大地震が何回来ても大丈夫ですよね?」ではなく、
「大きな地震を繰り返し受ける可能性まで考え、耐震等級3・構造計算・制震をどのように組み合わせていますか?」
と質問する。
地震対策は、
一度の揺れに耐えることだけではありません。
耐震で建物の強さを確保し、必要に応じて制震で揺れを抑え、地震後には点検・補修できるようにする。
この考え方が、大地震の後も家族の暮らしを守る住宅性能につながります。
















