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車椅子生活を想定した「廊下・出入り口の有効幅員(900mm)」と有効寸法の計算式

【背景と概要】

「将来、車椅子になっても暮らせる家」を設計する際、図面上で「廊下の幅を少し広めに」とアバウトに指示するだけでは、実際に車椅子が必要になったときに「狭くて曲がれない」「ドアに手がぶつかる」という事態に陥ります。建築図面に表記される寸法(芯々寸法)と、実際に人間が使える「有効寸法(内法寸法)」の間には大きなギャップがあるためです。車椅子がストレスなく自走・旋回できる正しい寸法ルールを解説します。

【図面上のマジック:「芯々寸法」と「有効幅員」の違い】

一般的な日本の住宅(尺モジュール)では、廊下の幅は図面上で「910mm」と表記されます。しかし、これは柱の中心から中心までの距離(芯々寸法)です。ここに両側の壁(石膏ボードや壁紙)の厚み、さらに「ドアの枠」や「手すり」が飛び出してくると、実際に通れる幅(有効幅員)は「約750mm〜780mm」にまで狭まってしまいます。標準的な自走式車椅子の幅は約630mm〜650mmあるため、これでは通るだけで一苦労であり、手を車輪の外側に添えて漕ぐスペースが全く足りません。

【車椅子が快適に暮らせる「黄金寸法」】

  1. 直線通路の有効幅員は「最低800mm、理想は850mm〜900mm」:

これを実現するためには、図面上の寸法(モジュール)を通常の910mmから、病院や福祉施設で使われる「1,000mm(メーターモジュール)」に変更するか、廊下部分だけ壁の位置を後ろに下げる(有効幅を広げる)設計が必要です。

  1. 直角に曲がるコーナーの寸法:

車椅子が廊下から部屋へ90度曲がって入るためには、通路幅だけでなく、ドアを開けたときの間口の広さも関係します。通路幅が850mmであれば、ドアの有効開口幅は「最低800mm以上」を確保しなければ、車椅子のフットレスト(足置き)が壁に激突して曲がりきれません。

建て替えの基本計画の段階で、「将来を見据え、主要な動線(玄関〜リビング〜寝室〜トイレ・洗面)の有効幅員はすべて850mm以上を確保する」という条件を間取り図に落とし込むことが、本当のバリアフリーの第一歩です。

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