【背景と概要】
バリアフリーといえば「手すり」ですが、ただ闇雲に壁に手すりをつければいいというものではありません。取り付ける「位置(高さ)」や「太さ」が住む人の身体に合っていないと、力を入れにくく、かえって危険です。また、新築時に最も重要なのは、今は手すりが不要であっても、将来いつでも10分程度の工事で取り付けられるように壁の内側を準備しておく「先回り壁補強(下地入れ)」です。
【シニアの身体に合わせた手すりの正しい寸法】
- 歩行をサポートする「横手すり」:
廊下や階段の壁に設置する横手すりの高さは、一般的に「床から75cm〜80cm」、または「大転子(太ももの付け根の骨の出っ張り)」の高さに合わせるのが最も力が入りやすいとされています。
- 立ち座りをサポートする「縦手すり」:
玄関で靴を脱ぐ場所や、トイレ、お風呂の立ち上がりには縦手すりが有効です。便器の先端から15〜30cmほど前方の壁に、床から60cm〜120cmの範囲をカバーするように設置します。
- 手すりの太さ(直径):
シニアの手でしっかりと握り込める「直径32mm〜35mm」の木製(または滑り止め樹脂加工)のものを選びます。これより太いと力が伝わりません。
【新築時にやるべき「下地(補強木材)入れ」の箇所】
建物が完成して壁紙(クロス)を貼ってしまうと、壁の内部は中空の石膏ボードだけになり、後から手すりをネジで固定しようとしても壁が抜けてしまいます。新築工事中(壁を塞ぐ前)に、以下の場所に「合板(ベニヤ板)の下地補強」を広範囲に入れてもらいます。
- トイレの左右の壁全体
- 玄関の壁(靴を脱ぎ履きするベンチ設置予定場所)
- 洗面所・脱衣所の壁面
- 寝室からトイレに至るルートの壁一面
これにかかる費用は、1箇所数千円程度と極めて安価です。この先回りの配慮をしておくだけで、10年後、20年後に身体が不自由になった際、壁を壊す大がかりな工事をすることなく、必要な場所にピンポイントで手すりを安全に後付けできます。
















