「吹付ウレタン断熱なら、隙間なく施工できるので安心ですか?」
吹付ウレタン断熱は、現場で断熱材を吹き付けて発泡させる工法です。
柱や間柱の間、複雑な形状の部分にも施工しやすいため、
「吹付ウレタンなら高気密・高断熱になる」
というイメージを持たれる方も多いと思います。
しかし、
吹付ウレタンを採用しただけで、高性能住宅になるわけではありません。
大切なのは、
断熱材の種類だけではなく、施工・気密・防湿・内部結露対策まで含めて考えること
です。
吹付ウレタン断熱のメリットは?
吹付ウレタンは現場で発泡させるため、
柱や間柱の間。
配管・配線まわり。
複雑な形状の部分。
などにも施工しやすい特徴があります。
適切に施工されれば、
断熱層を連続させやすい
ことがメリットの一つです。
ただし、必要な厚みが確保されているか、施工にばらつきがないかは確認する必要があります。
吹付ウレタンでは気密シートを使わないケースもある
吹付ウレタン断熱では、使用する製品や工法、壁の構成などによって、
室内側に別途、気密シートを施工しないケースもあります。
ここで注意したいのが、
気密シートは「気密を取るためだけのもの」ではない
ということです。
気密シートや防湿シートには、壁の構成によって、
室内の水蒸気が壁の中へ入り込むのを抑える「防湿層」としての役割
もあります。
気密シートは内部結露対策にも関係する
冬の室内では、
料理。
入浴。
洗濯物。
加湿。
人の呼吸。
などによって水蒸気が発生します。
その水蒸気が壁の中へ入り、冷たい部分で冷やされると、
内部結露が発生する可能性があります。
窓の結露なら目で確認できます。
しかし内部結露は、
壁の中で発生するため気づきにくい
ことが問題です。
長期間続けば、壁内部の木材や断熱材などへ影響する可能性があります。
そのため、
「どこで気密を取るのか」だけではなく、「どこで防湿するのか」
まで確認することが重要です。
「気密」と「防湿」は同じではない
ここは特に知っておきたいポイントです。
気密は、
家の隙間をできるだけ少なくすること。
防湿は、
室内の水蒸気が壁の中へ入り込むのを抑えること。
関連する部分はありますが、目的は同じではありません。
そのため、
C値が良いから、内部結露対策も十分
と単純には判断できません。
既存Q14でも、気密測定は家の隙間を実際に測り、C値として施工状態を確認するものとして説明しています。
吹付ウレタン=高気密ではない
吹付ウレタンは隙間へ入り込みやすいため、気密を確保しやすいイメージがあります。
しかし家全体には、
窓まわり。
床と壁の取り合い。
柱・梁との取り合い。
配管・配線の貫通部。
天井・屋根との取り合い。
などがあります。
そのため、
吹付ウレタンを施工しただけで、家全体の気密性能が保証されるわけではありません。
既存Q14でも、「高性能です」という言葉だけではなく、実際に測定して性能を数字で確認することを重視しています。
だからこそ、
全棟で気密測定を行い、C値を実測しているか
を確認することが重要です。
「気密シートなし」で確認したいこと
住宅会社から、
「吹付ウレタンなので気密シートは使いません」
と説明された場合、
それだけで良い・悪いを判断する必要はありません。
確認したいのは、
「この家は、どこで気密を取っていますか?」
「防湿層はどこですか?」
「室内の水蒸気が壁内へ入ることをどう考えていますか?」
「内部結露をどのように防ぐ設計ですか?」
ということです。
使用する吹付ウレタンの種類や壁の構成などによって考え方が変わるため、
壁全体の構成で説明してもらう
ことが大切です。
デメリットや注意点は?
吹付ウレタン断熱も万能ではありません。
注意したいのは、
施工厚のばらつき。
気密・防湿層の考え方。
内部結露への配慮。
将来の配線・配管工事。
改修時の施工。
などです。
さらに、
窓性能。
換気。
日射対策。
などが不十分なら、断熱材だけ良くても快適な住宅にはなりません。
既存Q2でも、住宅性能はUA値だけではなく、C値・窓・換気・日射まで組み合わせて考えることを重視しています。
よくある失敗例
住宅会社から、
「吹付ウレタンだから隙間なく施工できます」
「気密シートを使わなくても大丈夫です」
と説明され、それだけで安心した。
しかし、
どこで気密を取っているのか。
防湿層はどうなっているのか。
内部結露をどう防ぐのか。
C値はいくつなのか。
を確認していなかった。
結果、
「吹付ウレタンだから安心」というイメージだけで判断してしまった。
原因
断熱材の商品・工法だけを見て、壁全体の断熱・気密・防湿計画まで確認しなかったことです。
後悔しないためのチェックポイント
- 吹付ウレタンの種類・仕様を確認したか
- 必要な施工厚を確保しているか
- 施工厚の確認方法を聞いたか
- 気密シートを使用する仕様か
- どこを気密層としているか
- どこを防湿層としているか
- 内部結露対策を説明してもらったか
- C値を実測しているか
- 全棟で気密測定をしているか
- UA値・窓・換気まで確認したか
まとめ
吹付ウレタン断熱には、
複雑な部分にも施工しやすく、断熱層を連続させやすい
というメリットがあります。
一方で、工法や仕様によっては、
別途、室内側に気密シートを施工しないケースもあります。
そこで忘れてはいけないのが、
気密シート・防湿シートは、気密だけではなく、室内の水蒸気が壁内へ入り込むのを抑え、内部結露のリスクを下げる役割を担う場合がある
ということです。
だから、
「吹付ウレタンだから安心」
「気密シートがないからダメ」
と単純に判断するのではありません。
重要なのは、
どこで断熱するのか。
どこで気密を取るのか。
どこで防湿するのか。
内部結露をどう防ぐのか。
そして最後に、
実際に気密測定を行い、C値で施工結果を確認すること。
断熱材の商品名ではなく、壁全体の構成と完成した住宅の性能で判断することが、吹付ウレタン断熱で後悔しないための大切なポイントです。
















