質問
「新築で太陽光発電5kWを載せる予定です。4人家族なら、家庭で使う電気のほとんどをまかなえますか?」
結論
太陽光5kWだから、家庭の電気を○%まかなえるとは一律には言えません。
発電量は、
地域+屋根の方角・傾斜+日射量+影+パネル性能
などで変わります。
さらに「電気をどこまでまかなえるか」は、
発電量だけでなく、家庭がいつ・どれだけ電気を使うか
によって大きく変わります。
① 「5kW」は何の数字?
5kWは、太陽光発電システムの設備容量を示す数字です。
年間に5kWhしか発電しないという意味でも、常に5kW発電するという意味でもありません。
実際の発電出力は天候・季節・時間帯などによって変化します。
② 「kW」と「kWh」を分ける
ここは非常に重要です。
kW
→ 発電設備の出力・容量。
kWh
→ ある時間に発電・消費した電力量。
例えば住宅の年間電気使用量と比較するときは、主に年間何kWh発電するかを見ます。
③ 同じ5kWでも発電量は違う
同じ容量でも、
南向き。
東西向き。
屋根勾配。
周辺建物の影。
樹木。
パネル温度。
などによって実際の発電量は変わります。
そのため、今回建てる屋根での発電シミュレーションを確認します。
④ 久留米だから年間○kWhと決めつけない
地域の日射条件は重要ですが、実際の住宅では屋根形状・方位・影の影響もあります。
住宅会社には、
「久留米の平均」ではなく、今回の屋根条件を入れたシミュレーション
を出してもらいます。
⑤ 年間発電量=電気代ゼロではない
例えば年間で、
発電5,000kWh。
消費5,000kWh。
だったとしても、
電気代ゼロとは限りません。
昼間に発電。
↓
余った分を売電。
夜に電気を購入。
という時間差があるからです。
⑥ 「自家消費率」を見る
発電した電気のうち、家庭でそのまま使った割合が自家消費率です。
例えば昼間に、
エアコン。
エコキュート等。
洗濯乾燥機。
食洗機。
を動かすなど、生活・設備制御によって自家消費を増やせる場合があります。
⑦ 高断熱住宅との関係
高断熱・高気密化によって冷暖房負荷を小さくできれば、家庭のエネルギー需要を抑える方向に働きます。
つまり、
使うエネルギーを減らす
↓
太陽光でつくる
ことで、太陽光をより活かしやすくなります。
⑧ 夏は発電するから冷房し放題?
太陽光が発電している昼間は、冷房電力を自家消費できるメリットがあります。
しかし、
曇天。
夕方。
夜。
などは条件が変わります。
まず日射遮蔽・断熱で冷房負荷を減らすことが基本です。
⑨ 冬は発電量・消費量の季節差を見る
太陽光発電量と家庭の電力消費量は季節によって変動します。
そのため年間合計だけでなく、月別の発電量・消費量を見ると実態を理解しやすくなります。
⑩ 売電単価だけで判断しない
太陽光発電は、
売るためだけの設備
ではなく、発電した電気を自宅で使うという視点も重要です。
電気料金と売電条件が違えば、自家消費の価値も変わります。
⑪ パワーコンディショナの交換も考える
太陽光設備はパネルだけではありません。
パワーコンディショナ等の機器は、住宅本体より早く交換が必要になる可能性があります。
長期的には、
発電メリット-維持管理・交換費
まで考えます。
⑫ 5kWで足りるかは家庭ごとに計算する
例えば、
4人家族。
オール電化。
昼間在宅。
共働き。
EVあり。
乾燥機を毎日使う。
では電気の使い方が大きく違います。
家族人数だけで太陽光容量を決めないことが重要です。
チェックポイント
- kWとkWhを区別したか
- 今回の屋根で発電シミュレーションしたか
- 月別発電量を確認したか
- 年間消費電力量を想定したか
- 自家消費率を考えたか
- UA値・C値を確認したか
- 太陽光荷重を構造計算へ反映したか
- パワコン交換費を考えたか
まとめ
住宅会社には、
「太陽光5kWなら電気代はほぼゼロですよね?」ではなく、
「今回の屋根で5kWを載せた場合の月別発電量と、私たち家族の想定消費量・自家消費量・買電量・売電量をシミュレーションしてください」
と質問する。
太陽光発電で重要なのは、何kW載せたかを競うことではありません。
住宅性能で消費を減らし、家庭の電気使用時間に合わせて発電した電気をできるだけ有効に使う。
これが、太陽光5kWを高性能住宅で活かす基本的な考え方です。
















