「最近は回遊動線が人気ですよね。」
住宅展示場やSNSを見ると、必ずと言っていいほど目にする言葉です。
キッチンを中心にぐるりと回れる間取り。
洗面所からファミリークローゼット、ランドリールームへ一直線につながる動線。
確かに、とても魅力的です。
私たちも、お客様の暮らし方によっては積極的にご提案しています。
しかし、住宅会社として24年以上家づくりに携わってきた私がお伝えしたいのは、
「回遊動線=正解」ではないということです。
回遊動線には大きなメリットがあります。
家族同士がすれ違いやすい。
行き止まりがなく移動しやすい。
家事がスムーズになる。
生活動線と家事動線を分けやすい。
特に共働き世帯では、その便利さを実感される方が多くいらっしゃいます。
しかし、その一方でデメリットもあります。
回遊動線をつくるためには通路が増えます。
通路が増えれば、その分だけ収納や部屋の広さが減ることがあります。
また、ドアの数が増えたり、壁が少なくなったりすることで、家具の配置が難しくなる場合もあります。
つまり、回遊動線は便利ですが、**「通路を増やす設計」**でもあるのです。
私は間取りを考えるとき、
「回遊できるか」ではなく、
「無駄に歩かないか」
を重視しています。
例えば、
玄関からパントリーへ。
パントリーからキッチンへ。
洗面所からランドリールームへ。
このように生活の流れに合わせた動線なら、必ずしも家全体を回遊できる必要はありません。
また、家族構成によっても考え方は変わります。
小さなお子さまがいるご家庭。
共働きのご夫婦。
ご高齢のご夫婦。
暮らし方が違えば、使いやすい動線も変わります。
流行ではなく、自分たちの暮らしに合った動線を考えることが何より大切です。
よくある失敗例
- 回遊動線を優先して収納が減った
- 通路ばかり増えて部屋が狭くなった
- 家具を置く壁が少なくなった
- ドアが多く使いにくくなった
- SNSをそのまま真似した
原因
回遊することが目的になり、暮らしやすさを考えなかったことです。
プロとしての考え方
私は回遊動線そのものを提案するのではなく、
「最も歩かない暮らし」
を設計しています。
回ることではなく、無駄な動きをなくすこと。
それが、本当に良い間取りだと考えています。
後悔しないためのチェックポイント
- 回遊する必要が本当にあるか
- 通路が増えすぎていないか
- 家具配置まで考えたか
- 家族全員の動きを確認したか
- 収納とのバランスは取れているか
まとめ
回遊動線は便利です。
しかし、
便利な間取りと、暮らしやすい間取りは必ずしも同じではありません。
流行よりも、
家族の生活を優先して設計することが、後悔しない間取りづくりにつながります。
















