結論:原則60歳以上の親・祖父母から、18歳以上の子・孫へ財産を贈与する際、通算2500万円まで贈与税を課さずに今すぐ大きな資金を動かせる制度です。前述の1000万円の非課税枠を超える巨額の建て替え資金を親から子へ渡したい場合に威力を発揮します。
「相続時精算課税制度」とは、将来の相続を待たずに、生前の元気なうちに親の財産を子世代へ無税で移転させるための選択型課税制度です。住宅を取得(建て替え)するための資金としてこの制度を選ぶ場合、特例により「贈与者である親の年齢が60歳未満であっても利用可能」に要件が緩和されます。
メリット:最大3500万円を今すぐ「無税」で子どもへ渡せる
前述のQ16で解説した「住宅取得等資金の1000万円非課税特例」と、この「相続時精算課税制度の2500万円枠」は、完全にドッキングして併用することが可能です。
つまり、シニアの親から子どもへ、一気に最大3500万円(1000万円 + 2500万円)という実家の新築建て替え費用のほぼ全額に匹敵するキャッシュを、贈与税を1円も払うことなく今すぐ安全に手渡すことができます。これにより、子ども世代は高い金利の住宅ローンを組む金額を大幅に減らすことができ、家族全体の金利負担を大きく削減できます。また、近年の税制改正により、この制度を一度選んだ後でも、それとは別に「年110万円までの基礎控除」が毎年復活して使えるようになったため、劇的に使い勝手が向上しました。
デメリット:税金が免除されたわけではなく「将来の相続時に足し算」される
この制度の名称には「精算」という言葉が入っています。これは「今すぐの贈与税は0円にするけれど、将来、親(シニア)が亡くなって本当の相続が発生した時に、昔この制度であげた2500万円を親の遺産総額の中にそっくりそのまま足し算して(持ち戻して)、相続税としてまとめて精算してくださいね」という仕組みです。
- シニアがこの制度を選ぶべきかどうかの判断基準:
親(シニア)の総資産(実家の土地の価値 + 残った預貯金 + 今回贈与する現金)の合計額が、相続税の基礎控除額(
)を下回っている、つまり「そもそも将来も相続税が1円もかからない家庭」であれば、この持ち戻しルールによるデメリットは実質ゼロになります。
逆に、都市部に広い土地を持っているなど、将来確実に相続税がかかる資産家の場合は、財産をあげる瞬間の税金はゼロになっても、将来子どもが払う相続税が高くなる可能性があるため、税理士による事前の試算が絶対に欠かせません。
















