【背景と概要】
家族会議を開き、遺留分の対策を施したとしても、それを確実な法的効力を持つ形にしておかなければ意味がありません。シニアの建て替えにおいて、最も推奨されるのが「公正証書遺言」の作成です。遺言書には自分で書く「自筆証書遺言」もありますが、形式の不備で無効になったり、死後に裁判所で「検認」という面倒な手続きが必要になったりするため、プロである公証人が作成する公正証書遺言一択です。
【作成する最適なタイミング】
よくある失敗は、「家が完成して、落ち着いてから遺言書を書こう」と先延ばしにすることです。建て替えの打合せや仮住まいへの引っ越しは想像以上に体力を消耗し、完成した頃には親が体調を崩したり、認知機能の低下が始まったりして、遺言書が作れなくなるケースがあります。
最適なタイミングは、「ハウスメーカーとの建築請負契約と同時、または着工して工事が進んでいる間」です。この時期であれば、新居の図面や最終的な見積り(資金計画)が確定しているため、遺言書に書く「どの土地・建物を、誰に引き継がせるか」という内容を正確に記載できます。
【公証役場での手続きの具体的な流れ】
- 専門家(司法書士や税理士、ハウスメーカーの提携窓口)への相談:
まずは遺言の内容(原案)を作成します。
- 必要書類の収集:
親の戸籍謄本、子どもの住民票、土地・建物の登記事項証明書(登記簿謄本)、固定資産税評価証明書などを用意します。
- 公証人との事前打ち合わせ:
専門家を通じて、または直接公証役場の公証人と原案を確認し、文章を確定させます。
- 本番(遺言の作成日):
親本人が公証役場へ赴きます(歩行が困難な場合は、公証人に自宅や病院へ出張してもらうことも可能です)。この際、利害関係のない「証人2名」の立ち会いが必要となります(通常は司法書士や役場のスタッフが担当します)。公証人が遺言内容を読み上げ、親が間違いがないことを確認して署名・捺印すれば完成です。費用は財産の総額によりますが、一般的に数万〜数万円程度です。
















