質問
「省エネ住宅にしたいなら、断熱性能を上げるより太陽光発電をたくさん載せたほうが電気代を抑えられるのではないですか?」
結論
太陽光発電と高断熱住宅は非常に相性が良いですが、役割はまったく違います。
基本的な考え方は、
① 断熱・気密・日射遮蔽で使うエネルギーを減らす
② 高効率設備でさらに消費を抑える
③ 太陽光発電でエネルギーをつくる
という順番です。
太陽光を増やすだけでは、夏暑く冬寒い家そのものが改善されるわけではありません。
① 断熱は「使うエネルギーを減らす」
断熱性能を高める目的の一つは、冷暖房に必要なエネルギーを抑えやすくすることです。
一度つくった室温を保ちやすくする、建物そのものの省エネ性能です。
② 太陽光は「電気をつくる」
太陽光発電は、屋根などで発電して家庭で使う電気をつくります。
つまり、
断熱=省エネ
太陽光=創エネ
と役割を分けて考えます。
③ 太陽光だけでは冬の窓際は暖かくならない
例えば、
UA値が十分でない。
窓性能が低い。
気密性能も確認していない。
でも太陽光10kW。
という住宅。
発電量は増やせても、窓の室内側表面温度や部屋間温度差など、建物そのものの温熱性能を太陽光が直接改善するわけではありません。
④ 断熱は後から変えにくい
太陽光パネルは条件が合えば後から設置・増設できる場合があります。
一方、
壁の断熱材。
気密層。
屋根・天井断熱。
などを全面的に改修するのは大掛かりです。
新築時には、後から変更しにくい基本性能を優先するという考え方が重要です。
⑤ まず夏の日射を減らす
久留米では、太陽光発電を増やす前に、
西日。
南窓。
軒・庇。
外付けシェード。
なども確認します。
夏の熱を大量に入れてエアコンで冷やし、その電気を太陽光で補うだけでなく、最初から冷房負荷を小さくすることを考えます。
⑥ 発電と消費の「時間」が重要
太陽光は主に昼間に発電します。
しかし家庭では、
朝。
夕方。
夜。
にも電気を使います。
そのため年間発電量が年間消費電力量と同じでも、電気代がゼロになるとは限りません。
⑦ 自家消費とは?
太陽光で発電した電気を、その時間に家庭で使うことを自家消費といいます。
例えば昼間に、
エアコン。
給湯。
食洗機。
洗濯乾燥。
などを動かせれば、自家消費を増やせる場合があります。
⑧ 高性能住宅なら太陽光を活かしやすい
住宅の冷暖房負荷を抑え、必要なエネルギーそのものを小さくできれば、太陽光で住宅の消費エネルギーをカバーしやすくなります。
だから、
高性能住宅+太陽光
という組み合わせには意味があります。
⑨ 太陽光を載せるなら構造計画にも入れる
太陽光パネル等には重量があります。
耐震性能を重視するなら、
構造計算完了後に追加
ではなく、最初から太陽光を載せる条件で構造計画へ反映します。
⑩ 屋根のメンテナンスも考える
太陽光は数十年使用する設備として、
屋根防水。
パネル固定方法。
パワーコンディショナ。
点検。
将来交換。
撤去。
まで考えます。
チェックポイント
- 断熱より太陽光だけを優先していないか
- UA値・C値を確認したか
- 日射遮蔽を考えたか
- 自家消費を考えたか
- 太陽光荷重を構造計算へ反映したか
- パワコン交換を考えたか
- 屋根のメンテナンスを確認したか
まとめ
住宅会社には、
「太陽光を何kW載せれば電気代が安くなりますか?」だけではなく、
「まず断熱・気密・日射遮蔽で必要エネルギーを減らし、そのうえで今回の家庭に適した太陽光容量を計算してください」
と質問する。
省エネ → 高効率設備 → 創エネ。
この順番で考えることが、高性能住宅と太陽光発電を上手に組み合わせるポイントです。
















